Japanese
English
診療術の歴史・10 The Evolution of Physical Diagnosis
ギオバーニ・バチスタ・モルガーニ
Giovanni Battista Morgagni
Gude James K.
1
,
吉原 幸治郎
2
2佐賀医科大学総合診療部
1University of California-San Francisco, Medicine & Community Medicine.
pp.474-475
発行日 1993年5月15日
Published Date 1993/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900852
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- Abstract 文献概要
身体所見と病理所見の相関関係を検討
モルガーニ(1682年~1771年)は1715年にパデュアの病理解剖学主任教授となった優秀な臨床医であった.彼は学校へは行かず,母親を家庭教師として一般教養を学んだ.そして,バローニャにおいて医学の勉強をしたが,そこでは有名なバルサルバや熱心な触診術の推奨者であったアルベルティーニが教鞭を奮っていた.アルベルティーニの教えにより,モルガーニは触診を中心とした理学的診断を行ったが,同時に身体所見と病理解剖所見の相関関係について検討するという医学の新分野を開拓した.モルガーニは様々な著作を残したが,代表作は1761年にベニスで出版された"De Sedibus, et Causis Morborum per Anatomen Indagatis (解剖により検討した疾病の主座と原因)"であった.この本は1769年にベンジャミン・アレクサンダーにより英語に翻訳され1),1882年にはクックがその解説書を出版した2).モルガーニ以前にも病理解剖の所見について記載した本があった.たとえば,テオフィルス・ボネタスは1679年に16世紀から17世紀にかけて行われた病理解剖症例を集めた"Sepulchretum Anatomicum"を出版した3).しかし,それは断片的な所見の集積に過ぎず,モルガーニのような継続的観察と解剖所見の対比という系統的なものではなかった.
モルガニーは病理医として尊敬されたが,同時に優秀な臨床医であった.
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