Drug Information 薬を安全,有効に使うには・6
人免疫グロブリン製剤による免疫性溶血性貧血
高橋 隆一
1
Ryuichi Takahashi
1
1国立東京第二病院
pp.620
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900200
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人免疫グロブリン製剤,すなわちγ―グロブリン製剤は,これまでは低または無γ―グロブリン血症,重症感染症における抗生物質との併用が適応とされていた.しかし,Fc部分を保有する完全分子型γ―グロブリン製剤が市販され,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に有効なことが確認され,他剤が無効で著明な出血傾向があり,外科的処置または出産などの一時的止血管理を必要とする場合が適応に追加されている.ITPに使用する場合には200~400mg/kg/日の大量を5日間使用する.投与開始5日目頃から血小板数が増加し,7日目前後に最高値に達し以後再び減少するため止血管理を必要とする時期の5~6日前から投与を始める.
この治療法は,一過性の効果しかないが,止血管理を必要とするITPの場合には有効であり,広く行われている.しかし,この治療法が行われるようになってから免疫性溶血性貧血の症例が報告されているので安全対策について注意を喚起したい.
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