読者フォーラム
コレスポンデンス
長坂 行雄
1
1金沢医科大学呼吸器内科
pp.184-185
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900054
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「JIM」創刊号を読んで‘息苦しさ’の鑑別―自験例に応用してみて
創刊号の冒頭の宮城教授の論文は広範な疾患,病態を具体的な症候,数値を挙げて,しかも遺漏なく説明するという,著者の豊富な臨床経験に裏づけられた特技が発揮されている.呼吸器科医には絶好のサマリーである.一般内科医にも本特集の導入として一読し,さらに各論文を一通り読み終えた後再読していただければ,これから手離せないリファレンスとなるであろう.
私が最近‘息苦しさ’の診断に苦慮している70歳の女性がいる.腰椎の障害で1年前から車椅子生活だが,意識も会話もはっきりしており,栄養状態も良い.その人が最近少し動いても'息苦しい’と訴える.咳,痰,胸痛はない.身体所見,血算,血液化学,甲状腺機能,胸部X線,CT,EKG,肺血流スキャンにも異常がない.肺活量は少し低下しているが閉塞性の肺機能障害はない.しかしPaco2 55 Torr, Pao2 60 Torrと明らかな低酸素血症があり‘息苦しさ’を裏付けている.その解決を求めて本号の各論文を読んでみた.
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