読者フォーラム
コレスポンデンス
板倉 宏次
1
1京都専売病院整形外科
pp.890-891
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900283
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診断書と腰部ベルト本誌10月号を読んで
M整形外科の初診患者の1/5は腰痛が主訴と言われますが,他科を初診して紹介される人も多く,特に痛みの激しい時には救急外来を受診するので整形外科以外の医師が腰痛患者を診る機会は多いと思います.その人の「痛み」の重大さは外見からは見積りが難しく,「腰痛を見分ける」ことは非常に大切ですから,今回の企画は大変有用だと思います.重大な疾患を見逃さないことが第一ですが,数週間以内に軽快する腰痛の初期治療は,重大ではありませんがそれなりの「時間を要する」ためにやっかいです.労働やスポーツに活動量の増す10代後半から,筋力の衰えはあっても従前どおり動かねばならない40代にかけて,腰痛は時に経済的損失を伴うため,安静が第一の治療とわかっていても,動いてしまって疼痛が長びくことが多いものです.
<症例>35歳男性,清涼飲料の販売員.日に100ケース(1ケース約20kg)以上を配送します.ある仕事の翌朝,激しい腰痛で起き上がれず,救急病院で入院,3日後に立てるようになって紹介されて来院.腰痛前屈位をとり,SLRテストは90°で陰性.知覚障害なく,体動時の激しい腰痛(殿部のすぐ上,両側)があります.主任なので早く仕事に出たい,との訴えですが,まず「1カ月間の腰部の安静を要す」と診断書を出し,職場の上司に出勤後も「休み時間」が必要なこと,重量物運搬は避けること,などを話し,臥床安静により腰痛軽減した3週間後から出勤.
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