読者フォーラム
コレスポンデンス
野村 聡子
1
1国立東京第二病院総合診療科
pp.790
発行日 1991年11月15日
Published Date 1991/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900251
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患者指導にも指標を本誌9月号を読んで
9月号の"心雑音,心肥大および心電図異常"を読ませていただきました,初診・再診に関わらず,外来診療時に出会わない日はないというくらい多くの方がこれらの訴えで来院なさっているように思います.そしてそのほとんどの方は「前から不整脈と言われていた.」とか「そういえば心臓が大きいかもしれないと言われたことがあった.」など,あまりに漠然としていてアナムネーゼ聴取に苦労することが少なくありません.特に不整脈に関しては,以前と変化があるのかどうか判断のしようのないことがあります.心室性期外収縮など放置して良いタイプのもので簡単に済まさせていたのかもしれませんが,新しい病院に行くたびに,場合によっては何度となくむだな精査を繰り返されることにも結び付いてくるのではないでしょうか.
ある時,上部消化管造影検査室にいたところ,待合室から興奮した甲高い女性の声が聞こえてきました.様子を見に行くと、「私は不整脈があって心臓が悪いので(前投薬の)注射を打ってはいけないと言われていた.」と繰り返すのです.詳しく聞くと過去に歯科治療中に頻拍発作でひっくり返った後,検査時の緊張などで動悸がひどいとのこと.「ついていますから大丈夫」と落ち着かせ,前投薬も行って無事検査は終了し,その後行った検査でも不整脈は指摘できませんでした.これとは逆に,以前心配のないものだからと言われ,脈をとる数十秒にかなりの回数の欠滞があってもホルター心電図を受けていない場合もありました.
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