特集 高齢者「主治医」事典
【多死社会と主治医】
非癌高齢者の終末期診療―「死を早めることにも,死を遅らせることにも手を貸さない」(WHOがんの痛みからの解放と緩和ケア指針)
宮森 正
1
1川崎市立井田病院・かわさき総合ケアセンター緩和ケア内科
キーワード:
終末期
,
倫理問題
,
多職種チームカンファレンス
,
倫理委員会
Keyword:
終末期
,
倫理問題
,
多職種チームカンファレンス
,
倫理委員会
pp.860-864
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102998
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市立病院の高齢化問題
ちまたでは,高齢者の多死時代が襲来する2025年問題が喧しいが,地域の医療問題が直接反映する市立病院では,すでに,患者の高齢化で身動きできない状況になりつつある.患者を,年齢差別せずに受け入れる某市立病院では,たとえば90歳以上の入院患者が常に10%以上を占めている.これは,ある意味誇るべき数字であり,近隣の病院は断らない救急を売り物にしても,高齢者は差別して入院はさせない.
高齢患者は,多臓器障害を抱え,かつ,治りが遅い,場合により回復しない,患者だけでなく家族も高齢化し,独居,老々介護(老人同士で介護している世帯),認認介護(認知症患者を認知症家族が介護している世帯)などの社会的・経済的・家庭的問題を抱えていて,介護力がなく,退院も簡単にはできない.施設から入院すると重症化し,施設への回帰を拒否される.かくて,行き場のない衰弱した高齢患者が市立病院に滞留することになる.
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