特集 高齢社会の看取りのサイエンスとアート
【終末期ケアにおける諸症状のマネジメント】
終末期ケアにおける痛み以外の症状
宮森 正
1
1川崎市立井田病院・かわさき総合ケアセンター
キーワード:
終末期
,
身体的苦痛
,
精神的苦痛
,
社会経済的苦痛
,
スピリチュアルな苦痛
,
家庭的苦痛
Keyword:
終末期
,
身体的苦痛
,
精神的苦痛
,
社会経済的苦痛
,
スピリチュアルな苦痛
,
家庭的苦痛
pp.670-673
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101484
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Case
老衰型の経過をとった高齢者結腸癌の1例
患者:90歳,男性.
現病歴:最近食欲がなくなり,ほとんど寝たきりになった.もともとは,農家の当主で体力頑健,食もよく最近まで自力で歩行もしていたが,数カ月前から少しずつ食欲が低下し,2週間ほど前からは粥を少々,2,3日前からは水を少し飲み込むだけとなり,家族が心配して往診を依頼してきた.バイタルは異常なく,意識はあるが傾眠状態,軽度の脱水で,黄疸なく,肝臓を1横指触れるのみ.Hb 9.0g/dl,肝機能軽度障害,CEA 50ng/mlと上昇がみられた.便鮮血あり,S状結腸に3/4周にわたる結腸癌がみられた.CTで多発肝転移.患者は,まったく苦痛はなく,傾眠,食欲なく過ごし,最初は1,000ml,最終的には500mlの維持輸液で2カ月経過したのち,血圧低下し老衰死された.高齢者の癌は,痛みの苦痛がなく,食欲低下して老衰型の経過をとることが多い.
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