書評
最後まで生きるために—〈上〉わたしの死 あなたの死/〈下〉苦悩からの解放
会田 薫子
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1東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター上廣講座
pp.1006
発行日 2023年11月10日
Published Date 2023/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202528
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錚々たる書き手が,生と死について見つめ直し,平易な言葉で語りかけてくる多分野の視点と論考の宝庫
さまざまな18篇をどう紹介しようか
本書は『わたしの死 あなたの死』(上巻)と『苦悩からの解放』(下巻)から成る。鷲田清一,河合隼雄,垣添忠生,細谷亮太,池澤夏樹,養老孟司,山折哲雄,高木訷元,柳田邦男,小澤竹俊,玄侑宗久,高木慶子,井上ウィマラ,柏木哲夫,永田良一,島薗進,松長有慶,静慈圓という錚々たる書き手が,生と死について見つめ直し,平易な言葉で語りかけてくる。この上なく贅沢なラインナップである。
医学・医療・心理学・哲学・宗教・文学という多分野の視点と論考の宝庫である本書は,一人ひとりの読み手の背景と経験によって多様な意味づけと解釈がなされるだろう。書評の対象としては相当手強い。養老が語るように,「一人ひとり,必ず他人とは違う世界を生きていて,死ぬまで違う世界にしか生きられない」のに,さまざまな18篇をどうご紹介しようか。
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