みるトレ
Case 32
笠原 敬
1
1奈良県立医科大学感染症センター
pp.357-358
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102825
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Case 32
患者:75歳,女性.
主訴:腹部膨満,微熱,下腿浮腫.
病歴:C型慢性肝炎のためにペグインターフェロンおよびリバビリンの併用療法を受けていた.5月31日に咳嗽のため近医を受診したところ,気管支炎と診断されレボフロキサシンを処方された.咳嗽は改善したが,6月4日に38℃台の発熱と腹部膨満・下腿浮腫が出現し,腹部エコー検査で腹水を認めたため6月8日に当院を受診した.
既往歴:C型慢性肝炎(上記).
身体所見:血圧106/60mmHg,脈拍90回/分・整,体温37.3℃,呼吸数16回/分,意識清明.腹部は膨隆しており,触診上圧痛を認め,波動を触れる.打診上は濁音でshifting dullnessを認める.
検査所見:末梢血:WBC 2,500/μl(桿状好中球9%,分葉好中球67%),Hb 8.5g/dl,Plt 23.6万/μl,生化学:AST 33U/l,ALT 14U/l,ALP 135U/l,γ-GTP 14U/l,ChE 82U/l,BUN 7mg/dl,Cr 0.42mg/dl, CRP 3.2mg/dl.腹水:黄色,やや混濁,血清アルブミン-腹水アルブミン格差(SAAG)0.9,細胞分画は多核白血球23%,リンパ球37%,単球5%.腹水中多核白血球数483/mm3,腹水中ADA 68.2U/ml.腹部単純X線(臥位・図1),腹部造影CT(図2)および腹腔鏡所見(図3)を示す.
腹水および血液の一般細菌培養は陰性.喀痰,腹水,便,尿の抗酸菌塗抹検査は陰性.
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