みるトレ
Case 31
岩崎 靖
1
1愛知医科大学 加齢医科学研究所
pp.355-356
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102824
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Case 31
患者:82歳の女性.特記すべき既往症はない.2年ほど前から,物の置き忘れが多いことを家族が感じていた.1年前から同じ話や同じ質問を繰り返すようになり,大事な約束をしばしば忘れるようになった.半年前から服の前後を間違えたり,寝間着の上に服を着るようになった.心配した家族に連れられて神経内科を受診した.
現病歴:意識は清明で構音障害なし.「家族から健康診断を勧められたので来ました.調子が悪いところはありません」と言い,物忘れについての自覚はなかった.礼節は保たれ,診察には協力的であった.腱反射は正常で病的反射はなかった.筋強剛はなく,パーキンソニズムは認められなかった.
検査所見:改訂長谷川式簡易知能スケールは14/30点,mini mental state test は15/30点で,見当識の障害,記銘力の障害が目立った.一般内科所見,血液生化学検査では特記すべき異常はなかった.血清梅毒反応は陰性で,甲状腺機能も正常であった.初診時の頭部MRI像(図1a,b)を示す.
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