みるトレ
Case 82
岩崎 靖
1
1愛知医科大学加齢医科学研究所
pp.67-69
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200055
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Case 82
患者:76歳,男性.
既往歴:特記事項なし.
現病歴:1年ほど前から物忘れが目立つようになった.半年前から歩行が小刻みになり,動作が次第に緩慢となってきた.1カ月前から「虫が壁を這っている」,「台所で小さな子が遊んでいる」などの幻視が出現したため,家族に連れられて来院した.
神経学的所見:一般内科所見に異常はなかった.意識は清明で,脳神経に明らかな異常はなく,眼球運動障害は認めなかった.失語は明らかでないが,小声で単調な話し方であった.表情は乏しく,仮面様の顔貌であった.腱反射は正常で病的反射はなかった.四肢,体幹に筋強剛を認めたが,左右差や振戦はなかった.歩行姿勢は前傾で(図1),すくみ足,姿勢反射障害がみられた.
画像所見:頭部単純MRIでは年齢相応の脳萎縮を認めた.脳血流シンチグラフィ(図2)を示す.改訂長谷川式簡易知能スケールは18/30点,mini mental state test は19/30点で,見当識の障害や記銘力の低下を認めた.
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