特集 知っておくべき高齢者の評価法
各論
嚥下障害・誤嚥性肺炎―嚥下機能検査,反復唾液嚥下テスト
角田 晃一
1
1独立行政法人国立病院機構東京医療センター 人工臓器・機器開発研究部
キーワード:
嚥下
,
体位
,
胃食道逆流
,
不顕性誤嚥
Keyword:
嚥下
,
体位
,
胃食道逆流
,
不顕性誤嚥
pp.904-907
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102338
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Case
眼瞼下垂により嚥下障害,嗄声を呈した一例
症例:64歳,男性.
現病歴:ここ数年持続する嚥下障害と嗄声で耳鼻咽喉科外来を受診した.本人および家族によれば嚥下障害は,しっかり飲み込めない,食事に際してむせる,食後せき込むなどであり,ごろごろ唾液の貯留したような声になったとの訴えである.鼻咽腔喉頭ファイバースコピー検査で軟口蓋の閉鎖は正常,下咽頭喉頭には唾液の貯留が著明であり,声門周辺にも唾液が貯留.唾液の貯留が原因のムセ,咳き込み,嗄声が考えられた.実際に患者に少量の水を一口嚥下させたところ,上を向いて嚥下動作を繰り返した.そこで顎を引かせて嚥下させたところ,唾液の貯留,嗄声も消失した.
原因として5年前から出現した眼瞼下垂が考えられた.視野確保のため患者は上を見る傾向があったため,形成外科で手術的に眼瞼下垂を補正したところ,意識的に顎引き嚥下をせずに誤嚥,嗄声とも消失した1).本症例は眼瞼下垂により視野を得るため常に上を向いて食事をするため,喉頭の挙上不良をきたしていた.
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