特集 Systems-based Practice
【各論】
組織の視点を踏まえた地域医療
山本 和利
1
,
寺田 豊
1
,
河本 一彦
1
1札幌医科大学地域医療総合医学講座
キーワード:
地域医療
,
システム思考
,
地域包括ケア
,
生活モデル
Keyword:
地域医療
,
システム思考
,
地域包括ケア
,
生活モデル
pp.208-210
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102127
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Case
脳梗塞後遺症,慢性心不全,神経因性膀胱,繰り返す肺炎,貧血などをもつ高齢男性の在宅ケア
患者:高齢男性.
現病歴:1週間前から咳,39℃の発熱あり,近医より肺炎治療のため紹介された.SaO2 93%,脈拍 101/分,血圧 150/70mmHg,右下肺にfine crackleあり,胸部X線でも右下肺に肺炎像,胸水を認めた.抗菌薬と利尿薬による治療で肺炎と胸水は軽快した.原因として誤嚥が考えられたため,食事摂取時の体位や嚥下状態の観察を行った.転倒はなかったが,長期臥床によりADLが低下した.また,HbA1c(JDS値)6.8g/dlが発見されたが,とりあえず経過観察とした.夜間せん妄が著明となったため,早期退院を目指し,在宅ケアに移行することとした.
家族背景:元大工.妻,長男,嫁との4人暮らし.
経過:退院後,定期的に訪問看護を続けた.当初の在宅訪問時のADLとIADLを評価した(J1).訪問時はバイタルサインを評価,体温 36.8℃,血圧 144/70mmHg, SaO2 96%,胃瘻部位の処置,褥瘡の有無の確認,採血による貧血などの評価を行った.
経過中,胃瘻部位の炎症,褥瘡出現,貧血の進行,蜂窩織炎による発熱・下肢痛・倦怠感,ベッドからの転倒,誤嚥性肺炎などがみられ,それぞれについて在宅または入院で対応した.
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