特集 病院は経済成長に寄与するか
病院と地域の協働による地域振興を考える
神野 正博
1
1社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院
キーワード:
地域医療
,
地域振興
,
地域包括ケア
,
国際医療交流
,
医療の産業化
Keyword:
地域医療
,
地域振興
,
地域包括ケア
,
国際医療交流
,
医療の産業化
pp.363-367
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101954
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そもそも病院の顧客(患者),利用者とは? おそらく日本の多くの病院における患者の90%以上は,「通える地域」の住民ではないだろうか? ここで言う「通える地域」というのは,二次医療圏という範囲にこだわらず,交通インフラが発達した日本の中で大きな苦労なく通院できる地域ということになる.当恵寿総合病院の患者の99%以上も病院が存在する能登中部医療圏と隣接する能登北部医療圏,石川中央医療圏,ならびに富山県の高岡医療圏の住民である.いずれも距離こそ離れていても,道路インフラの整備の下で車や公共交通機関で十分「通える範囲」からの患者なのである.残りのわずかの患者は,里帰り出産や観光地の能登で受傷したり病いが発症したりした患者,あるいは地縁・血縁を頼って療養を目的として訪れた患者である.また,同様に健診受診者の多くも,地元在住者か地元の企業に勤める労働者ということになる.
この患者の流れは,例え東京の中心部のいわゆる有名病院であろうとも,二次医療圏や都県の境を越えて「通える範囲」の住民という物差しで把握するならば,おそらく90%以上は,やはり「通える」地域住民ということになるに違いない.以前に訪問した世界に冠たるマサチューセッツ・ジェネラル・ホスピタル,メイヨー・クリニックですら,50%の患者は周辺住民であると聞く.この傾向は,専門特化型病院を除いて,一般的な病院すべてに成り立つ流れではないかと思われる.
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