特集 精神疾患と誤診してはならない器質的疾患
各論
遺伝性血管浮腫(HAE)
前田 哲生
1
,
野村 英樹
2
1金沢大学附属病院救急部
2金沢大学附属病院総合診療部・総合診療内科
キーワード:
C1インヒビター
,
顔面浮腫
,
急性腹症
,
喉頭浮腫
,
ストレス
Keyword:
C1インヒビター
,
顔面浮腫
,
急性腹症
,
喉頭浮腫
,
ストレス
pp.112-115
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102098
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Case
身体表現性障害が疑われた遺伝性血管浮腫の1例
患者:18歳,女性.
既往歴:特記事項なし
現病歴:4月から当地大学に入学し,親元を離れ一人暮らしをしており,近頃,食欲低下と不眠が出現していた.当院には急な腹痛と悪心を主訴に受診.発熱なく皮疹なし,腹部は平坦・軟で中等度圧痛あるも筋性防御なし.検尿異常なく,血液検査(血算と一般生化学)では軽度白血球増多以外に異常を認めず.急性胃腸炎を疑い抗コリン薬投与するも症状改善なく,補液で経過観察したところ症状は自然軽快した.以降も数回,腹痛で当院受診し経過観察で自然軽快することがあった.いずれも精神的ストレスを感じていた時期とのことであり,身体表現性障害を疑った.しかし,その後,呼吸苦で当院受診した際に喉頭浮腫を認め,C4およびC1インヒビター活性を測定したところ両者とも低下しており,また,のちに両親が来院された際に母親が遺伝性血管浮腫であったことが判明し,遺伝性血管浮腫と診断された.
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