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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
肥満関連疾患の治療戦略
肥満症は自己責任の病気ではない
-――心身両面から各患者を理解し,オーダーメードで治療を考える
Obesity is not a disease of personal responsibility
――Understanding each patient from both mental and physical perspectives and considering tailored treatments――
林 果林
1
Karin HAYASHI
1
1東邦大学医療センター佐倉病院メンタルヘルスクリニック
キーワード:
オベシティスティグマ
,
抗肥満薬
,
減量・代謝改善手術
,
精神疾患
,
ストレス
Keyword:
オベシティスティグマ
,
抗肥満薬
,
減量・代謝改善手術
,
精神疾患
,
ストレス
pp.997-1002
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293100997
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食行動はある程度意識的にコントロールできることから,肥満は “疾患” とは認識されず,“自己コントロールできない怠惰な結果” と考えられてしまい,さまざまな合併症の原因となるにもかかわらず,当事者も「肥満は自分の甘えのせいだ」と自分を責め,適切な受療行動をとれない.このように,肥満への誤った差別的な価値観は “オベシティスティグマ” とよばれ,肥満症の最も深刻な問題であり,適切な肥満症治療を受ける妨げになっていることが指摘されている.しかし,肥満症は現代を代表する多因子が絡まる複雑な慢性疾患で,遺伝的要因や多彩な心理社会的環境を含むさまざまな因子が複雑に絡んでいる病態であり,自己コントロールは困難である.一方で,最近は食事療法,運動療法といった基本の治療法だけでなく,減量・代謝改善手術や抗肥満薬など,効果的な減量治療を選択できるようになってきている.そのため,医療者には各患者それぞれ事情の違う肥満症に至った多因子について検討し,それぞれの患者を適切な治療に導くことが求められる.

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