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I.まえがき
われわれは1),第69回日眼総会において,ほぼ無作為にえらんだ,眼精疲労を主訴とする症例に向精神薬剤Diazepamを投与し,その薬効から原因を検索するという診断的治療を試みた成績について報告した。その成績の概要は,著効および有効を含めて75%,無効25%であり,このとき,屈折異常の有無および屈折異常に対する矯正の適・不適により,薬効に特に差がみられなかつたというものであつた。以上の知見にもとづき,眼精疲労を主訴とする症例に対しては,身体因に対する検索および処置と平行して,心的機制に対する検討と処置がきわめて必要であることを強調したのである。
今回は,眼精疲労を主訴として,駿河台日大病院眼科外来をおとずれた症例のうち,われわれ眼科医の面接によつても心的機制の関与をうかがい知ることのできるような症例に対して,神経科医の診断を依頼し,その診断結果から,眼精疲労の発現に,どのような心的機制が関与しているかを検討した。さらに,眼疲労を訴える者が多い職場において,各種の調査を行ない,その結果から眼疲労発現に関与する諸因子について検討を行なつた。
Twenty-two cases of asthenopia with sus-pected psychic motives were referred to psy-chological examinations and were diagnosed as hysteria (4 cases), anxiety neurosis (3 cases), hypochondria (6 cases), neurasthenia (4 cases), psychosis (4 cases) and depressive neurosis (1 case).
The results indicate that a clear differenti-ation has to be made between ocular fatigue due to organic or external causes and those due to underlying psychosomatic ones.
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