構造と診断 ゼロからの診断学・7
帰納法であることを上手に使う
岩田 健太郎
1
1神戸大学医学部感染症内科
pp.784-789
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102018
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演繹法と帰納法
■ご案内だが,物事を考えていく時には,「演繹法」と「帰納法」のどちらかを用いていることが多い.臨床現場における「診断」というプロセスにおいては,このうち「帰納法」を用いることが多いように思う.英語では,演繹法はdeduction,帰納法はinductionという.「円で,キーン」(演繹 de 帰 in)と訳のわからない語呂合わせで覚える.
■演繹,deductionとは,理屈屋の論理である.理屈ではこうなのだから,こうなるはずだ,という理屈優位で結論を導き出すことを言う.演繹というのは「一つの事柄から,他の事柄に意義を押し広めて述べること」という意味があるそうで(「iapp大辞林」より),外に広げていく感じだ.de-というのも「離れていく」という意味の接頭辞だから,中にある理屈から外にある現実世界に応用していく……という空間的イメージができる.
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