特集 高齢者の誤嚥
【各論】
口腔ケア
岩渕 博史
1
1国立病院機構栃木病院 歯科・歯科口腔外科・小児歯科
キーワード:
誤嚥性肺炎
,
口腔内細菌
,
口腔機能
,
口腔ケア法の習得
Keyword:
誤嚥性肺炎
,
口腔内細菌
,
口腔機能
,
口腔ケア法の習得
pp.110-112
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101848
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口腔は肛門周囲,鼻腔と並ぶ3大不潔域でさまざまな種類の常在菌が歯垢(デンタルプラーク,J1)や唾液中などに存在する.とくに歯垢中の細菌数は糞便中のそれと同等である.また,口腔内の細菌は多種多様であり,その病原性が他部位の細菌と比較しても決して弱いわけではない.一方,口腔は気道の入り口でもあるため,その細菌が呼吸器内に入り込みやすいという解剖学的特徴もあり,誤嚥により容易に呼吸器内に多く細菌が送り込まれる.高齢者の場合,その程度はさまざまであるが高率に唾液の誤嚥がみられる.誤嚥性肺炎の予防をエンドポイントとした口腔ケアでは誤嚥した際に呼吸器内に入り込む口腔内細菌数を可能な限り減少させることが主な目的である.
口腔ケアはケア(Care),キュア(Cure),疾病予防の3つの側面を持っている.ケアは清潔ケアや他日常のケアと同様な意味を持ち,清潔で衛生的な生活を行わせることが目的となる.口腔内を清潔にすることによる効果を期待するというよりも,清潔面で人間として最低限の質を保つことが目的で口臭の軽減や口腔内の爽快感などが得られる.口臭の軽減はケアを受ける本人のみならず,家族にも大変好評である.
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