特集 咀嚼と嚥下と誤嚥性肺炎
咀嚼,嚥下,誤嚥性肺炎に関わる基礎知識
咀嚼と口腔機能―嚥下との関わり
井上 誠
1
Makoto Inoue
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野
キーワード:
咀嚼
,
口腔機能
,
嚥下
Keyword:
咀嚼
,
口腔機能
,
嚥下
pp.479-484
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000121
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はじめに
咀嚼は,口に取り込まれた食物を粉砕し,これを唾液と混和して食塊を形成するための働きであり,ほぼすべての哺乳類にとって食物摂取に必須の機能である。咀嚼時には顎舌,顔面,咽喉頭にいたる多くの部位が協調して働くことで巧みに食塊形成を行うとともに口腔から咽頭への移送を行い嚥下へとつなげる。その際,食品の硬さ,粒度,凝集性,付着性などの情報を適宜感知して,咬合力や食塊の移送を調整する。しかし,咀嚼中にわたしたちはこれらの情報を逐一感知することはほとんどない。これには,基本的な咀嚼運動の形成が下位脳幹に存在する咀嚼の中枢性パターン発生器(central pattern generator:CPG)によってなされていることや,顎口腔顔面に豊富に存在する感覚受容器の働きによるところが大きい。
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