- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
患者:67歳,男性.設計士.
主訴:左手足が動かしにくい.
現病歴:10年来の高血圧にて近医通院中の患者.2,3日前から寝不足気味であり,来院前日の昼頃に軽度の頭痛があった以外はとくに問題はなかった.同日の夕刻に自家用車で仕事場から帰宅した直後,左手で鍵を持てないことに気がついた.その日は過労のためかと考え,病院受診は見送った.しかし,夜間に排尿のためトイレへ歩行する際に,右方向へ進んでいく様子と,左上肢と左下肢の動きがおぼつかないことが目立った.このため,夜が明けるのを待って当院救急室を受診した.
既往歴:高血圧(10年前から),痛風,発作性心房細動.
内服薬:オルメサルタン(20mg)1錠/日,アテノロール(25mg)1錠/日,アムロジピン(5mg)1錠/日,アロプリノール(100mg)1錠/日.
生活歴:喫煙なし,週に3回ほど大量に飲酒する.
身体所見:全身状態は非常に緊張してみえる.血圧 右上肢200/110mmHg,左上肢190/90mmHg,心拍80/分(整),呼吸数18/分,体温 36.6℃,SpO2 99%(室内気).結膜に貧血や黄疸を認めず,頸部に雑音なし・左頸動脈の触知が悪い,呼吸音は清・左右差なし,心音は整・Ⅱ音の亢進あり・雑音なし,腹部に雑音なし,四肢の動脈拍動の左右差なし.神経学的所見;意識清明,GCS E4V5M6.脳神経所見;左鼻唇溝がわずかに浅く,左口角がやや下垂しているようにみえ,中枢性左顔面神経麻痺が疑われる.その他の脳神経異常は明らかではない.深部腱反射;図1.トーヌスの低下や亢進はなし.徒手筋力テスト;右上肢5,左上肢4-,右下肢5,左下肢5-.左上肢のほうがわずかに右下肢より筋力低下がみられる.感覚;左上下肢でわずかに温痛覚の低下あり.
入院時検査所見:血算;WBC 8,900/μl,RBC 513×104/μl,Hb 16.3g/dl,Hct 48.1%,MCV 94fl.凝固;APTT 23.9sec,INR 1.39.生化学;Na 137mEq/l,K 3.5mEq/l,Cl 99mEq/l,BUN 11mg/dl,Cre 0.9mg/dl,AST 25IU/l,ALT 20IU/l,T-Bil 0.8mg/dl,Glc 113mg/dl,TG 159mg/dl,T-Chol 190mg/dl,LDL-Chol 159mg/dl.
心電図;洞調律,左室肥大(voltage criteria).
胸部X線;明らかな異常なし.頭部CT;図2.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.