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Case
患者:71歳,男性.
主訴:意識障害.
現病歴:入院5日前から,沖縄へ観光に来ている旅行者.ツアー開始日から左側腹部違和感を自覚していた.当院へ搬送される日の朝から体調がすぐれなかった.朝食,昼食ともにやや量は少なかったが,常用薬はいつもどおり内服していた.移動中の観光バスの中で少し傾眠傾向となり,同日の夕刻に滞在先のホテルに到着すると同時に脱力と意識消失,発汗がみられたため当院へ救急搬送となった.悪心嘔吐なし,胸部不快感なし,失禁もなかった.前日の大量飲酒はなかった.
既往歴:60歳時に尿管結石にて体外衝撃波結石破砕術施行.糖尿病(空腹時血糖150mg/dl,HbA1c 5.6%),脂質異常症,高血圧にて通院中.
常用薬:グリメピリド1mg分1,ボグリボース0.6mg分3,アムロジピン5mg分1,ロサルタン50mg分1,アトルバスタチン10 mg分1.
生活歴:定年退職し,主に普段は自宅で過ごしている.喫煙;20本/日.アルコール;機会飲酒.
入院時理学所見:血圧186/66mmHg,脈拍80/分,呼吸数20/分,体温35.6℃,SpO2 99%(室内気).GCS(E1M3V1)5点(昏睡).眼瞼・眼球結膜に貧血や黄疸認めず,眼球右共同偏視あり,瞳孔3mmで左右差なし,対光反射あり.呼吸音は清明で左右差なし.心音は整で心雑音なし.腹部は平坦・軟で,腸雑音は正常.背部の叩打痛なし.神経学的所見では右下肢運動麻痺あり,腱反射はすべて低下.
来院時血液検査所見:血算;WBC 12,900/μl,RBC 372×104/μl,Hb 11.2g/dl,Hct 33.1%,Plt 25.6×104/μl.生化学;Na 135mEq/l,K 4.3 mEq/l,Cl 104mEq/l,BUN 76mg/dl,Cre 7.5 mg/dl,Glc 28mg/dl,AST 39IU/l,ALT 39 IU/l,T-Bil 0.3mg/dl,CRP 25.2mg/dl.
血液ガス分析(室内気);pH 7.349,PaCO2 28.7 Torr,PaO2 75.2Torr,HCO3- 15.4mEq/l.
一般尿検査;濃白色,pH 7.0,糖(-),蛋白(3+),ケトン体(-).尿沈さ;RBC 5~9/HPF,WBC>100/HPF,細菌(2+).
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