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症例:65歳の女性,ADLは自立.
主訴:発熱.
【現病歴】元々軽度の腰痛はあったが,歩行に支障ない程度であった.来院2日前に,労作と関係なしに急に腰痛が増悪し,同時に悪寒戦慄が約30分間あった.近医を受診し発熱を認めたが,その他の所見に乏しいため鎮痛薬を処方され帰宅した.しかし発熱が続くので,夜間に救急室を歩行で受診した.
【既往歴】高血圧と糖尿病(HbA1c 6.7%)で近医フォロー.内服薬;Ca拮抗薬とαグルコシダーゼ阻害薬.アレルギーなし.
【生活歴】喫煙なし.機会飲酒.
【身体所見】身長145cm,体重45kg.バイタルサイン;血圧120/60mmHg,脈拍96/分,呼吸数12/分,体温39.3℃,SpO2 96%(室内気).全身状態;熱の割にほぼ良好.頭頸部;貧血・黄疸なし.胸部;喘鳴・湿性ラ音なし.心音;整,心雑音なし.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA叩打痛なし,腰部に軽度自発痛あり.皮膚;皮疹なし.
【検査所見】
血液検査;WBC 9,100/μl,Hb 14g/dl,Hct 43%,Plt 12×104/μl,Na 143mEq/l,K 3.6mEq/l,Cl 95mEq/l,BUN 12mg/dl,Cr 0.8mg/dl,Glu 156mg/dl,AST 35IU/l,ALT 32IU/l,CRP 8mg/dl.
胸部X線;浸潤影なし.尿検査;白血球1~4/HPF,菌なし.
【来院後経過】来院2日前に悪寒戦慄があり,高熱を認めたことから敗血症を疑った.しかし症状に乏しく,腰痛も来院時には普段と変わらない程度で,全身状態も悪くない.ひとまず血液培養を2セット採取し,熱型と症状を観察するために入院させた.ところが翌朝には,血液培養2セットの4本中1本から矢印の菌(図1)が検出されたと検査室から報告があった.さらに熱も39.6℃に上昇し,腰痛が増悪して座位も困難となってきた.身体所見では下部腰椎に強い自発痛と圧痛を認めたので,腰椎X線とMRIを撮影した.
腰椎X線側面像;L4/L5椎間の狭小化(図2矢印)とL4のすべり症を認める.
腰椎MRIのT2強調像(図3aは矢状断像,bは横断像);L4/L5椎間板の変性とその上下に高信号域(液状成分,黄色矢印)を,棘突起周囲にも高信号域(液状成分,赤矢印)を認める.
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