感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[9]
ADLが悪い高齢者の呼吸器感染症
谷口 智宏
1
,
喜舎場 朝和
2
1大阪医療センター免疫感染症科
2元 沖縄県立中部病院内科
pp.733-736
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101212
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患者:84歳の男性,ADLは車椅子で半介助.
主訴:意識レベル低下.
【現病歴】介護老人保健施設に入所中.来院前日に食事中にむせこみ,その後37℃台の微熱をきたした.翌日,熱が38.5℃まで上がり意識レベルも低下したため,救急センターに搬送された.
【既往歴】高血圧,糖尿病,脳血管性痴呆あり.両側声帯麻痺をきたして3カ月前に気管切開.内服薬;ACE阻害薬と去痰薬.アレルギーなし.
【生活歴】喫煙;10本/日を70歳まで.飲酒;現在飲んでいない.
【身体所見】身長163cm,体重50kg.バイタルサイン;血圧120/70mmHg,脈拍60/分,呼吸数24/分,体温38.5℃,SpO2 86%(O2 2l/分).全身状態;傾眠傾向.頭頸部;貧血/黄疸なし.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;整,心雑音なし.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛なし.
【検査所見】 血液検査;WBC 5,700/μl,Hb 12g/dl,Hct 35%,Plt 53×104/μl,Na 138mEq/l,K 4.1mEq/l,Cl 98mEq/l,BUN 11mg/dl,Cr 0.6mg/dl,Glu 97mg/dl,CRP 4mg/dl.
尿検査;白血球1未満,菌なし.胸部X線;浸潤影はっきりせず(図1).喀痰グラム染色;肉眼所見でクリーム色.弱拡大で上皮細胞は少なく,強拡大で多核白血球(PMN)2+,矢印の菌3+(図2).喀痰抗酸菌染色;陰性.
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