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症例:68歳の男性,ADLは自立.
主訴:悪寒戦慄.
【現病歴】来院前日いつもと変わりなく就寝した.深夜2時に尿意で目が覚めトイレに行くが,尿はほとんど出ず痛みを伴う.これを明け方まで3回ほど繰り返した.朝5時には悪寒戦慄(shaking chill)が起こり1時間近く続き,悪心嘔吐も出現したため,朝7時に救急センターを受診した.排尿困難と排尿時痛をきたしたのは今回が初めてで,普段は夜間尿が1回あるのみ.
【既往歴】高血圧と一過性脳虚血発作(TIA).内服薬はなし.
【生活歴】喫煙と飲酒は現在なし.
【身体所見】身長160cm,体重75kg.バイタルサイン;血圧148/70mmHg,脈拍92/分,呼吸数24/分,体温38.7℃,SpO2 98%(室内気).全身状態;意識清明.頭頸部;貧血/黄疸なし.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;整,心雑音なし.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛なし.陰囊;発赤なし.直腸診;軽度の前立腺肥大を認めるが,圧痛は明らかでない.
【検査所見】血液検査;WBC 14,000/μl,Hb 16g/dl,Hct 47%,Plt 20×104/μl,Na 140mEq/l,K 3.7mEq/l,Cl 102mEq/l,BUN 19mg/dl,Cr 1.1mg/dl,Glu 187mg/dl,CRP 5mg/dl.
尿検査;蛋白4+,潜血3+,赤血球30~49/HPF,白血球>100/HPF,白血球円柱1+,桿菌3+.
胸部X線;浸潤影なし.腹部エコー;両側水腎症なし.尿グラム染色;多核白血球(PMN)1~2+,とくに多核白血球が集中した部位では→の菌2~3+(図1).
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