感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[5]
グラム陰性双球菌による呼吸器感染症
谷口 智宏
1
,
喜舎場 朝和
2
1大阪医療センター内科・免疫感染症科
2元沖縄県立中部病院内科
pp.375-377
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100930
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症例:79歳の男性,ADLは自立.
主訴:咳と痰.
【現病歴】来院3日前からかぜ気味で,咳と痰があった.来院当日の夕方に悪寒(chill)があり,夜間に救急外来を受診した.
【既往歴】高血圧で外来フォロー.陳旧性肺結核.内服薬;降圧薬3剤.アレルギーなし.
【生活歴】喫煙・飲酒なし.
【身体所見】身長160cm,体重55kg.バイタルサイン;血圧140/70mmHg,脈拍86/分,呼吸数21/分,体温39.3℃,SpO2 94%(room air).全身状態;悪くはない.頭頸部;貧血・黄疸なし.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;整,心雑音なし.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛なし.
【検査所見】血液検査;WBC 17,000/μl,Hb 14g/dl,Hct 41%,Plt 12×104/μl,Na 137mEq/l,K 4.5mEq/l,Cl 107mEq/l,BUN 20mg/dl,Cr 1.2mg/dl,Glu 123mg/dl,CRP 0.5mg/dl.
胸部X線;右下肺野に石灰化あり,浸潤影なし(図1).
喀痰グラム染色;肉眼所見は黄色粘性.強拡大で多核白血球(PMN)2+,グラム陰性双球菌(gram-negative diplococci : GNDC)2+(図2).
喀痰抗酸菌染色;陰性.
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