感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[12]
抗菌薬がすでに開始された尿路感染症
谷口 智宏
1
,
遠藤 和郎
2
1大阪医療センター免疫感染症科
2沖縄県立中部病院内科・感染症グループ
pp.999-1002
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101291
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症例:35歳の女性,主婦.
主訴:発熱と悪寒.
【現病歴】来院3日前より排尿時痛,残尿感,頻尿があるが様子をみていた.来院当日の朝から腰部違和感と悪寒(chill)を伴う39.4℃の発熱があり.近医を受診しレボフロキサシン(LVFX)100mgを1日3回処方されたが,悪心と悪寒がさらに強くなったため,救急センターを受診した.
【既往歴】腎盂腎炎を19歳と22歳の時の2回(いずれも左側).アレルギー;なし.
【生活歴】妊娠を機に禁煙.機会飲酒.離婚.子どもが2人いる.
【身体所見】身長156cm,体重59kg.バイタルサイン;血圧120/60mmHg,脈拍150/分,呼吸数32/分,体温40.3℃,SpO2 99%(室内気).全身状態;ぐったりしている.頭頸部;貧血/黄疸なし.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;整,心雑音なし.腹部;平坦軟,下腹部から左側腹部に軽度圧痛あり.背部;左CVA(肋骨脊椎角)叩打痛中度あり.
【検査所見】
血液検査;WBC 12,100/μl,Hb 11g/dl,Hct 33%,Plt 23×104/μl,Na 135mEq/l,K 3.2mEq/l,Cl 97mEq/l,BUN 9mg/dl,Cr 0.6mg/dl,Glu 139mg/dl,AST 21IU/l,ALT 21IU/l,CRP 3mg/dl.
胸部X線;浸潤影なし.腹部エコー;両側水腎症なし.
尿検査;蛋白±,赤血球1~4/HPF,白血球50~99/HPF,菌なし.
尿グラム染色;多核白血球(PMN)1+,矢印の菌を数視野につき1個程度認める(図1).
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