連載 とらうべ
日本にはすでに多くの「助産士」がいる
ターナー 節子
pp.557
発行日 2000年7月25日
Published Date 2000/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902437
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この数か月,「男性助産士,認める,認めない」「助産婦職を男性にも開放すべきか」等,助産士の課題が再度盛り上がった.再度というのは看護制度にからむこの議論は1996年から97年にかけて取りあげられ,本誌でも特集が組まれ(50巻7号),それ以前の歴史をたどれば10〜15年以上の長さをもつからだ.そして今回も助産士立法化は,野党の反対応援で「助産婦の中で男性への資格開放に反対する声がまだあり,十分な議論を尽くすべきだ」として実現しなかった.
ということは,助産士になりたいという男性がいる限り,助産士立法化の課題は来年,再来年ともちあがり,その都度関連関係者の貴重な時間を費やすことになる.最終的には助産士になりたい人から,国を相手どっての雇用均等法違反として訴訟が待ち受けているというコースを取るのがこれからの進展だろう.そのとき私たち助産婦は関連職業団体としてどのような位置に置かれるのだろうか.雇用均等法違反を長らく支えることは,わたしたち助産婦の社会的意識の薄さを物語り,狭い視野でのあるいは深慮さに欠ける意見は,助産婦全体としての幼稚さを打ち出しはしないだろうか.この疑問に真っ向から対処しない限り,十分な議論を尽くし切ったとは言えない.
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