Editorial
もしも君が望むのなら
松村 真司
1
1松村医院
pp.995
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101290
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早いもので今号は2007年の最終号である.みなさまのお手元に届くのはもう年の瀬であろう.さて,年の瀬といえばいつの頃からか格闘技中継が大晦日のテレビ番組の定番になっている.よく考えると古くからの定番年越し番組,紅白歌合戦も,赤組・白組で勝ち負けを決める「合戦」のスタイルをとっている.過ぎゆく年を振り返り,この一年に起きた問題は今年のうちに決着をつけよう,という潜在意識が,格闘技や歌合戦といった対決スタイルの番組が大晦日に人気を博すことに反映されているのかもしれない.
というような発想で,本年の最終号であるこの特集「論争の現場を見にいく」は企画された.いつの時代でも,どんな社会でも,決着のつかない問題は限りなくあり,そしてそれは医療という分野においても同様であろう.Aという意見を述べる人もいれば,Bという意見を述べる人がいて,どちらが正しいのか,それともどちらも正しくないのか,その判断は大変難しい.格闘技のように直接争うのがもっとも明確であり,それが臨床試験や介入試験というものなのだろうが,それには猪木と馬場の直接対決のように実施上さまざまな困難がたちはだかる.したがってしばしば直接対決なしで決断を下さなければならないことになり,それは政策決定のようなマクロの決断でも,目の前の患者のようなミクロの決断でも同様である.とはいえ,あまり肩肘はらず,あくまで大晦日の格闘技中継を見るように楽しみながらお読みいただきたい.
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