ナースの作文
看護学校に良き教育者を望む/N君をいとおしむ
大谷 和子
1
1国立清瀬病院
pp.62-63
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910673
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私は卒業と同時に逃避するような恰好で,保健婦学校に進学しました。新しき門出に対する希望と,喜びに溢れた日であるべき卒業式の日私はほつと救われたような例えようもない解放感を覚えました。そんな気持ちに何故なつたのでしよう。
進学したくても経済的な理由により,どうすることも出来ずにいた私には,「看護学院」への入学が許され,自由に勉強が出来る。しかも給費制,私には本当に魅力でした。戴帽式前後の基礎医学,化学等の勉強は,入学して良かつたという喜びと希望を持たせてくれましたが,それも束の間,自発的な勉強欲を削ぐような言葉を先生より聞かされた時から,私は進むべき道は間違つていたのではなかろうかと,ただただ暗い煩悶の日が続きました。
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