特集 ストップ・ザ・医原性疾患
中心静脈栄養にまつわる医原性疾患
山内 健
1
1独立行政法人国立病院機構九州医療センター小児外科
キーワード:
カテーテル由来血流感染症(CRBSI)
,
真菌性眼内炎
,
ビタミンB1欠乏症
,
refeeding syndrome
Keyword:
カテーテル由来血流感染症(CRBSI)
,
真菌性眼内炎
,
ビタミンB1欠乏症
,
refeeding syndrome
pp.932-935
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101269
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Case
ビタミンB1欠乏性乳酸アシドーシスによる死亡例
37歳の女性.2月22日意識障害のため公立病院脳神経外科に入院.痙攣重積状態となり,気管内挿管下に強力な抗痙攣薬の投与を行った.同25日からTPNが開始されたがビタミンB1は添加されていた.3月下旬より痙攣発作はおさまり意識障害の改善がみられTPNが中止されたが,痙攣再燃のため4月10日にTPNが再開された.翌日よりヨーグルト,ゼリーなどの摂取が可能となったためビタミンB1は添加されなかった.同24日から食事を少量摂取できたが,嘔吐も多かった.4月下旬に意識はほぼ正常まで回復したが,5月1日より閉眼がちとなり,以後意識障害が進行し,同8日に発熱,血圧低下,頻脈が出現した.同10日に動脈血ガス分析にてpH 6.998と著明なアシドーシスを認め,メイロン®投与するも改善なく,同12日に死亡した.担当医は経口摂取している患者では,TPNにビタミン剤を併用する必要はないと思っていた.有責6,819万円.
(金沢地方裁判所平成17年4月15日判決,http://www.courts.go.jp/より)
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