Editorial
医原性疾患を予防する
伴 信太郎
1
1名古屋大学医学部附属病院総合診療部
pp.905
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101260
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筆者が研修医の頃から「人の病気の7割は自然に軽快し,2割は的確な診断・治療により生命が救われたり,治癒までの期間が大幅に短縮されたりし,1割は医療的介入がかえって状況を悪化させる」といわれていた.この1割の医原性疾患の典型は,たとえばウイルス性の原因が疑わしい‘かぜ’の人に抗菌薬を処方したり,高齢者に不用意に輸液をして心不全を惹起したり,といったことで,これらのことにはほとんどの臨床医が注意を払っていると思われる.
向原論文1)では,さらに広く『健診(検診)で指摘される「非疾患」,医師の言葉による感情的外傷,有効性がある治療を受けないことによる不利益』なども医原性疾患であると指摘しており,これはしばしば見逃されている重要な視点であると思う.
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