性の臨床・10
医原性の性障害
河野 友信
1
1都立駒込病院内科心身医療科
pp.1205-1208
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919095
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‘医原性疾患’(iatrogenic disease)という言葉があります.ハーストが提唱した本来の意味は,医師の診療行為に際しての言葉や態度に起因するもので,いわば暗示作用で引き起こされた病気ということですが,近年はキノホルムによるスモン病,胃切除手術によるダンピング症候群,放射線治療による皮膚障害などのように,医療行為に根ざす障害全般を指すような言葉として使われています.
性障害の中にも,この広い意味での医原性疾患に含まれるものがあります.身体的ないし精神的な病気があって,それを治すための医療行為が性障害をもたらすものです.原病の治療が優先されるのはいうまでもありませんが,できるだけ性障害が起きないようにするほうが望ましいし,起きても軽くて済むほうがよいに決まっています.
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