特集 在宅医療のスキルアップ
在宅診療における診断スキル
小野沢 滋
1
1亀田総合病院在宅医療部
キーワード:
在宅医療の特徴
,
日常の診察の重要性
,
介護環境の考慮
,
携帯型診療機器
Keyword:
在宅医療の特徴
,
日常の診察の重要性
,
介護環境の考慮
,
携帯型診療機器
pp.826-830
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101226
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Case
患者:86歳の女性.肺癌,脳転移治療後,認知症.
主訴:呼吸状態の悪化.右上葉に腫瘍があり,左前頭回に脳転移が認められ,2年前に転移巣に対し放射線治療後の患者.3日前から夜間に痰が絡むようになり,様子がおかしいとのことで夜11時頃連絡があった.主介護者の娘はしっかりした人で滅多なことでは連絡してこない.2日間は様子をみていたが,今日の夜は顔色も悪く,心配であるとのこと.訪問し,診察することとした.
訪問時,すでに状態は好転しており,酸素飽和度も97%,呼吸数も14回/分と以前の記録と比べ変化はない.よく話を聞くと,痰が絡みはじめた3日前より,右上下肢を使わなくなったとのこと.MMT(manual muscle test)は従命が困難でとれず,バレーサインは右で陽性.介護者によると初めは右手で持っていたが,やがて両手で持つようになり,今日は左手だけで持つようになっているとのことで徐々に進行したことが疑われる.
主介護者と相談し入院せず,また,受診が困難なことからCTなども施行せず,診断的治療としてステロイド薬を投与し,訪問回数を増やして,経過をみることとした.
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