特集 せん妄・妄想・幻覚へのアプローチ
妄想・幻覚患者への薬物療法
風祭 元
1
Hajime Kazamatsuri
1
1帝京大学
キーワード:
幻覚
,
妄想
,
せん妄
,
薬物療法
,
抗精神病薬
Keyword:
幻覚
,
妄想
,
せん妄
,
薬物療法
,
抗精神病薬
pp.856-859
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101039
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幻覚妄想状態と一口にいうことが多いが,幻覚と妄想とは違った症状である.身体症状の咳と痰,めまいと耳鳴などのようにしばしば一緒にみられるものであるが,別々に片方だけみられることも多く,幻覚だけ,幻覚がなくて妄想だけ,幻覚がもとになって妄想が生じるなど,いろいろな場合がある.そのため薬物を処方する時には,精神科医でなくても,ある程度症状を把握して,およその状態像の暫定診断をする必要があることをまず強調しておきたい.内科医が,診断の努力もせずに,発熱のある患者さんにいきなり解熱薬を処方してはいけないのと同じである.
せん妄(意識障害の上に幻覚・妄想と興奮のあるもの)や,幻覚・妄想の症状学については本特集の別項(保坂隆論文.p848)で詳しく触れられると思うが,臨床では,軽いせん妄で幻覚を訴えるものを,背後にある軽度の意識障害を見逃して精神病性の幻覚や妄想と誤認することがきわめて多い.ここでは幻覚や妄想への薬物使用にあたって必要な基本的事項を述べ,ついで具体的な薬物の処方例を挙げる.
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