妄想・幻覚の原因と診断のコツ

　Case

　糖尿病で入院中に妄想を呈した1例

　患者：62歳，女性．

　家族歴：特記すべきことなし．

　現病歴：数年前に尿糖を指摘され，以後は軽度の糖尿病という診断で内科通院中である．当初は食事療法と運動療法で経過観察されていたが，約1年前より経口糖尿病薬によって管理されている．しかし，最近になって血糖のコントロールがうまくいかず，元気がなくなり，外来にも来られなくなったために入院し，インスリン治療導入のための診断・治療プランが始まった．入院は初めてとのことで，かなり緊張し不眠が続いていたが，検査を続けた10日目あたりから「早く退院したい」と言い始めた．主治医や家族が何度説明しても，十分に理解できないようであった．