特集 せん妄・妄想・幻覚へのアプローチ
妄想・幻覚患者への対応のコツ
春日 武彦
1
Takehiko Kasuga
1
1東京都立墨東病院神経科
キーワード:
妄想
,
共感
,
統合失調症
,
抗精神病薬
Keyword:
妄想
,
共感
,
統合失調症
,
抗精神病薬
pp.852-855
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101038
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Case 1
突拍子もない訴えで,繰り返し受診してくる「名物患者」
ある時期には毎週,ある時期には数カ月の間隔をおいて,なぜかいつも夕刻になると,自ら救急車を呼んで産婦人科の外来を受診する老婆がいた.訴えは,性器の一部が取れてしまったので診てほしいというものであった.しかし実際にはどこにも異常はない.帯下が増えているなどの異変もない.そのことを伝えても,とくに安心した様子もなく,「いやそんなはずはないが……」などと不機嫌な様子で帰っていく.そんなことがたびたびなので,彼女はスタッフの間ですっかり名物患者となってしまった.独り暮らしの老婆で,痴呆というわけでもない.傾きかけた古アパートで,ひっそりと暮らしているらしい.身なりにはまったく構っておらず,入浴もろくにしていないようであった.
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