特別寄稿
地球温暖化と蚊媒介性感染症デング熱,西ナイル熱とマラリア
當間 孝子
1,2
1琉球大学医学部保健学科
2琉球大学アジア太平洋島嶼研究センター
pp.296-300
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100849
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
最近まで,「感染症の征圧の長い闘いは終わりに近づいた」との楽観論が聞かれた.確かにポリオ,ハンセン病,オンコセルカ症,天然痘などは過去の疾患となった.しかし,コレラ,マラリア,西ナイル熱,結核など,地理的に限られていた疾患が世界各地で勃発し,再流行(再興)している.また,エイズやエボラ出血熱など,世界のあちこちで感染源や病原体の不明な新しい疾患も出現(新興)している.感染症の征圧の闘いは終わりどころか,重要な段階にさしかかっていると言えよう.
WHO(世界保健機関)の報告書(1996)によると,感染症はまだ世界の主要な死因で,年間の死者数5,200万人のうち,少なくとも約33%が感染症により死亡,また世界人口の半数以上が,感染症の危険に曝されていると報告している.このような現象は,最近特に問題視されている地球温暖化や国際化と,リンクしていると思われる.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.