特集 トラベルメディスンのすすめ
ミニレクチャー
トリ型インフルエンザ
岡部 信彦
1
1国立感染症研究所感染症情報センター
pp.512
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100961
- 有料閲覧
- 文献概要
インフルエンザウイルスA,B型は,毎年ヒトの間で流行する.A型ウイルスの表面にあるスパイクHA(血球凝集素)およびNA(ノイラミダーゼ)は,H1-H15,N1-N9の亜型に分類され,哺乳類や鳥類に広く分布している.水鳥類,とくにカモは現在知られているすべてのA型ウイルスを保有しており,A型インフルエンザウイルスの起源・供給源でないか,といわれている.
鶏や七面鳥,水鳥などに対して,神経症状,呼吸器症状,消化器症状など強い全身症状を示すものを「高病原性鳥インフルエンザ(highly patho-genic avian influenza : HPAI)」と呼ぶ.その致死率の高さから,かつてはこれを家禽ペストと呼んだ.一方,弱毒性(low pathogenic avian influ-enza : LPAI)もある.これまでのところHPAIはHAの型が5と7に限られているが,H5やH7のなかにも低病原性のウイルスが存在する.最近アジアを中心にみられているトリのインフルエンザは,H5N1(HPAI)が中心となっている.なお,カモはほとんど症状を現さない.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.