特集 トラベルメディスンのすすめ
帰国後,具合の悪い人が来た時に―輸入感染症診断と治療のポイント
大西 健児
1
1東京都立墨東病院感染症科
キーワード:
発熱
,
下痢
,
血液培養検査
,
便培養検査
,
感染性腸炎
,
輸入感染症
Keyword:
発熱
,
下痢
,
血液培養検査
,
便培養検査
,
感染性腸炎
,
輸入感染症
pp.500-505
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100959
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
熱帯熱マラリアに細菌性赤痢が合併した1例
患者:30歳,日本人女性.
既往歴・家族歴:特記事項なし.
現病歴:11月13日に出国し,ガーナでボランティア活動を行い12月2日に帰国した.12月7日から発熱があり,12月8日に38.7℃となった.12月9日にも発熱があるため感染症科外来を受診したところ,血液検査で熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)が検出され入院した.また,11月29日に1日20回前後の水様便があり,帰国後は1日1~2回の水様便あるいは泥状便がある.入院時の便培養検査でD群赤痢菌(Shigella sonnei)が検出されたため,細菌性赤痢を合併した熱帯熱マラリアと診断した.抗マラリア薬であるメフロキンの経口投与で熱帯熱マラリアは改善し,細菌性赤痢はトスフロキサシンの経口投与で改善した.なお,マラリアは4類感染症であり,細菌性赤痢は2類感染症であるので保健所へ届け出た.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.