JIM Report
南大島診療所の医療活動と医師養成①―「地理的な離島はあっても,人の命に離島があってはならない」
古垣 斉拡
1
,
岩永 明峰
1
1南大島診療所内科
pp.236-238
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100909
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診療所の歴史
設立当時の島の保健・医療環境は劣悪であり,その中で地域住民の力を借りて当診療所は設立されました.当初から有床診療所であり,医師不足の中,若手医師1人と少ないスタッフで診療所を守っていました.1984年になってようやく卒後2~4年目の医師2人体制となりました.このように決して恵まれた医療環境ではないなかで,「地理的な離島はあっても,人の命に離島があってはならない」をスローガンにスタッフおよび地域住民が奮闘して現在の診療所を築き上げてきたのです.
診療所の医療環境
当診療所のある奄美大島は,鹿児島県本土から約380km南西に位置しています.当診療所は本島北部にある奄美空港から車でおよそ2時間かけて南下した鹿児島県大島郡瀬戸内町にあります(図1).瀬戸内町は加計呂麻島・請島・与路島など離島の中の離島を抱えており,人口は約1万人です.高齢化が年々進行しており,高齢化率は32.7%(2006年8月),さらに瀬戸内町は生活保護率が奄美群島で最も高くなっています(68.0‰,全国平均の約6倍,J1).当診療所の保険別外来患者数では国保60%,社保25%,生保15%の比率です.瀬戸内町内の他の医療機関としては中核病院として瀬戸内徳州会病院(60床),瀬戸内町へき地診療所(19床)などがあります.
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