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細菌性髄膜炎の診断はどうする?
■三徴にとらわれてはいけない
一般的に感染症の診断では,旅行歴,職歴,居住地域,家族歴,パートナーの有無など病歴をこと細かに聞くことが重要です.しかし細菌性髄膜炎の診断には,時間の余裕はありません.時間をかけて病歴を取っていると手遅れになることもあるため,手際よく行う必要があります.まず,症状に注目します.
表1の「発熱,頸部硬直,言っていることがよくわからない」が細菌性髄膜炎のclassic triad(三徴)です.しかし,落とし穴はこの三徴が全部そろうのは,細菌性髄膜炎患者の3割ぐらいだということです.大多数は,これら全部を満たしているわけではないため,この三徴にとらわれずに細かい要素で診断しなければいけません.反対に,この三徴がそろっていないので髄膜炎を否定するという論拠にはなりません.また,ほかの徴候として頭痛,痙攣,四肢の点状出血,光過敏性などがあります.救急に痙攣の患者がやってくると,脳梗塞や脳出血といった診断がパッと頭に浮かびますが,これらも当然髄膜炎の徴候であるので注意が必要です.
また,jolt accentuationは非常に感度が高いので診察時に実施してみてください.赤ん坊が「イヤイヤ」するみたいにブルブルブルッと首を振ると,頭痛がひどくなったり,首に痛みが走ります.これがjolt accentuation陽性であり,非常に感度が高くて97%です.ただし細菌性髄膜炎の患者さんのほとんどはコミュニケーションが取れないため,「首を振ってみてください」といっても反応しないことが多々あります.もちろん,実施してみてjolt accentuation陽性であれば髄膜炎の可能性はあるので,腰椎穿刺をする必要があります.病歴のハイリスクグループでは,予後が悪い人はショックや低血圧,痙攣を起こしたり,意識障害があることがあります.
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