グラフ
離島久米島の無料診療
後藤 珠真子
pp.7-8
発行日 1969年10月10日
Published Date 1969/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204509
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この診療班は,派遣医として4年半沖縄に行かれた浦野元幸先生(本誌連載中)の斡旋によるもので,久米島出身の見習い看護婦のお里帰りも兼ねたもの,内科,外科,小児科のほかに,耳鼻科,眼科,婦人科を加えた総合的な大がかりな診療は,日ごろ病院や医師とは縁遠い島の人びとを喜こばせ,役場を先頭に協力体制をかかためた。高血圧,貧血,トラコーマなど,衛生教育の不徹底さ,生活のきびしさをみせつけられる思いがした。
とかく調査研究の対象とはなっても,治療まではしてくれぬと,本土からのこの種の診療班には批判的な島の人びとであったが,今回の細かい点にまでゆきとどいた診療には,非常に好意的で,来年もできることなら来てほしいとの声が強かった。仁風会側でも目下年1度の無料診療を検討中とのことである。それにしても,僻地医療については,もっと国としての方策があってもよいものに,と何かわりきれぬ思いにとらわれた。
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