特集 医療における“物語”―Narrative-Based Medicine(NBM)
[Narrative-Based Medicineの実践例]
医師の立場から(2)―NBMオタク医師がもつ“バカの壁”
尾藤 誠司
1
1国立病院東京医療センター総合診療部
キーワード:
解釈モデル
,
患者-医療者関係
,
全人的医療
,
医者の論理
Keyword:
解釈モデル
,
患者-医療者関係
,
全人的医療
,
医者の論理
pp.856-859
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100714
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患者がもっている物語に全く無関心なままで,医学的な事実だけを整理するだけでは,適切な医療サービスの提供をすることはできない.最近narrative-based medicine(NBM)が注目されてきていることは,医療者,特に医師が軽視しがちな“患者の物語”の部分に光を当てたという意味において非常に意義のあるものだといえる.しかしながら,患者の物語の世界に入っていくには,その物語における助演役としてのマナーや覚悟も同時に必要となることを忘れてはならない.
現在の私は,都内の大病院といわれる施設に働く内科系の医師である.よくも悪くも,私はその設定を前提に患者世界を眺め,振る舞うことが必要となる.患者の物語のなかで,自分が迷うことなく役割を演じるのはそれほど簡単なことではない.自戒も含め,ともすれば“物語コレクター”的なスタンスに陥りがちな医療者がもつべき反省点についてまとめてみたい.
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