患者の論理・医者の論理(第5回)
定量評価と不確実性の論理の交換
松村 真司
1
1松村医院
pp.724-727
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100682
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【症例】
田中友三さんは56歳の会社員です.以前から,職場検診のたびに高血圧を指摘されていましたが,自覚症状がないため放置していました.最近週刊誌で“中高年の血圧”の記事を読み,気になったため,近くの診療所を受診しました.
既往歴・家族歴は特記すべきことなし.身長165 cm,体重60 kg.初診時血圧155/98 mmHg.胸部X線,安静時心電図ともに異常なし.TC 235 mg/dl,HDL 46 mg/dl,TG 123 mg/dl.尿蛋白(-).今年の検診における眼底検査は異常なし.喫煙歴なし.その後何度か外来で測定した血圧でも収縮期160~180 mmHg,拡張期90~100 mmHgと持続性の高血圧を認めました.家庭用血圧計による自宅での測定でも同様の数値でした.
これまで「どうも体質的に血圧が高く,運動や食事療法だけでは難しそうですね,お薬を始めたほうがよいのではないですか?」と診察のたびに提案してみたのですが,田中さんは「前からそういわれているんですけど,薬はいったん飲み始めると一生やめられないんですよね…」と気乗りしない様子.そこで今日の診察では次のように切り出してみました.
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