特集 糖尿病診療の神話と事実―日常診療のなかの不確実性
Master Lecture
日常診療の不確実性
山本 和利
1
1札幌医科大学医学部地域医療総合医学講座
pp.734-738
発行日 2005年9月15日
Published Date 2005/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100021
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□科学主義
近代原理の確立に重要な役割を果たしたのは,近代科学,宗教改革,資本主義の3つであると言われる.特に医学と切り離せないのは近代科学である.近代科学は機械論的自然観,心身二元論,細分化・還元論を特徴とする.その特徴を前面に打ち出した医学上の科学偏重主義を「A wolf in the sheep's clothing of evidence-based medicine」などと揶揄する者もいる1).
近代科学は,原因と結果をどう説明するかについて,1対1の対応を求める線形モデルを想定して当該の領域で絶大な威力を発揮してきており,医学もその例外ではない.そのような考え方はまた自然や人間に対する見方に決定的な影響を与えた.その一方で,それは効率主義にもつながり,多様化を阻む動きを生み,自然・人間性の破壊につながったと主張する意見もある.
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