Japanese
English
綜説
組織不活性ガス交換の理論
Theories on inert gas exchange in the tissue
太田 保世
1
,
Leon E. Farhi
2
Yasuyo Ohta
1
1東海大学医学部
2ニューヨーク州立バッファロー大学医学部
1Department of Physiology, School of Medicine, Tokai University
2Department of Physiology, School of Medicine and Dentistry, State University of New York at Buffalo
pp.188-196
発行日 1976年3月15日
Published Date 1976/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202873
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呼吸生理研究の基本的な命題であるガス交換機序の解明については,さまざまなアプローチの方法があり,多くの実証的な知見が得られている。しかしたとえば肺胞でのガス交換では,"肺胞"というきわめて近寄りがたい存在は,数学的にいわゆる"モデル"として解析される現状1)である。肺でのガス交換はいわば運搬媒体としての血液循環を介在して,組織のガス交換と結びついている。組織でのガス交換は,肺胞でのそれに比較すればはるかに取扱いが容易であるように感ぜられるが,事実は,Verzar2),Krogh3-4),Hill5)ら先人の理論が脈々と生きつづけていて,比較的最近の類似の研究6-8)は,それらのsophisticationであるとするのはいい過ぎであろうか。
組織でのガス交換を取扱う場合に,O2あるいはCO2を対象とすると,たとえば拡散して行く組織そのものでのO2消費であるとか,気体としてだけの扱いができないCO2の問題などがあって,容易なことでは現実的なものが得がたい感がある。そこでいわゆる不活性ガスについてのみ考えることは,現象を若干単純化でき,組織ガス交換の理解に役立つであろう。
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