特集 いま求められる肝炎の知識
ウイルス肝炎―その病態と診断
D型/E型肝炎
三代 俊治
1
1東芝病院研究部
キーワード:
D型肝炎
,
defective virus
,
E型肝炎
,
感染経路
,
zoonosis
Keyword:
D型肝炎
,
defective virus
,
E型肝炎
,
感染経路
,
zoonosis
pp.684-686
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100672
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ウイルス学的には相互に全く無関係なD型肝炎とE型肝炎を同列に扱うことの奇妙さをば,敢て説明するまでもなく,読者御自身が既に御存知であろう.D型肝炎ウイルスは,B型肝炎ウイルスのサテライト・ウイルスであるからB型とリンクさせて論じるべきであるし,E型肝炎ウイルスは,A型肝炎ウイルスと同様に主に経口感染するウイルスであるから,もし合併項を立てるなら“A型及びE型”とすべきだったのである.なのに,何故“D型及びE型”という項目を編集者は用意してしまったのだろう?
その理由は分からなくもないし,却って示唆に富んでもいる.先刻“無関係”と書いたこの2つの肝炎ウイルスには,実は共通点が1つある.即ち,我国に於いては稀有であるとしてずっと“等閑視”され続けて来た,という点(のみ)が両者には共通している.さすれば“名誉回復”の場を与えて貰ったのかもしれないと,この2つのウイルスの為に,寧ろこのミスマッチをば喜ぶことにしよう.
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