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特集 A型・E型肝炎の最新動向
【E型肝炎】
最近のE型肝炎の疫学・臨床像の特徴
Epidemiology and clinical features of the recent hepatitis E
手島 一陽
1
Kazuaki TEJIMA
1
1社会福祉法人同愛記念病院財団同愛記念病院消化器内科
キーワード:
E型肝炎
,
水系感染
,
経口感染
,
IgA-HEV抗体
,
acute-on-chronic hepatitis
Keyword:
E型肝炎
,
水系感染
,
経口感染
,
IgA-HEV抗体
,
acute-on-chronic hepatitis
pp.137-140
発行日 2022年7月9日
Published Date 2022/7/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28202137
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2000年を境に,E型肝炎に関する疫学的知見は大きく変貌した.従来の水系感染によるまれな輸入感染症という認識から,わが国にもともと存在したE型肝炎ウイルス(HEV)による,食を介して散発的に発生する経口感染症として認識されるに至った.最近のE型肝炎の動向も,アジア・アフリカ諸国の流行性肝炎と先進諸国の散発性肝炎の二面性を持ち,わが国においては北海道および東京をはじめとする都市部での散発的な報告が累積されている.E型肝炎は4類感染症であり,2011年10月にIgA-HEV抗体検査が保険収載されて以降,届出件数が増加した.臨床像はHEV遺伝子型により肝炎の重症度割合が異なり,genotype 4による劇症肝炎例が報告されている.一方,軽症では入院すら要さない例も多く,肝障害での初診時にスクリーニングを行わないと,診断機会を逸してしまう可能性が示唆される.慢性肝障害患者,とりわけアルコール性肝障害例においてはアルコール性肝炎との鑑別に慎重を要することがあり,また慢性肝障害へのE型肝炎の併発により,肝予備能の急激な悪化をきたしうることを念頭に置く必要がある.
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