特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
感染関連検査〈ウイルス関連検査〉
そのほかの肝炎ウイルス関連検査―D型肝炎ウイルス,E型肝炎ウイルス
青木 孝彦
1
,
伊藤 清顕
1
,
溝上 雅史
1
1国立国際医療研究センター国府台病院肝炎免疫センター
pp.382-384
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104800
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D型(デルタ)肝炎
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
D型肝炎ウイルス(hepatitis D virus:HDV)はHBs抗原をウイルス外被とするため,B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)存在下でのみ感染可能となる.D型肝炎はA型,E型以外のウイルス性肝炎として感染症法により5類感染症に指定されており,診断より7日以内に保健所長を介して都道府県知事に届出の義務がある.欧米に比べ本邦ではD型肝炎の頻度は低く,HBs抗原陽性者の0.6%と報告されている.しかし,B型急性肝炎患者における欧米型遺伝子株の増加が近年顕著となっており,HBs抗原陽性者の重症肝炎ではHDV感染の可能性についても考慮する必要がある.HBVとの同時感染(coinfection)とHBVキャリアへの重複感染(superinfection)では肝障害および関連マーカーの経過が異なるものの,診断にはELISA法を用いたIgMクラス抗体およびRT-PCR法を用いたHDV-RNAの検出が最も正確である.特に同時感染ではIgM HDV抗体はIgM HBc抗体と同様に肝障害の改善とともに減少傾向を認める.慢性化する場合ではIgM抗体も遷延化し,total HDV抗体の力価は上昇していく(図1).
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